第十章

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「もう少しで目標地点に到着だ」 ドン・ラビンがナビを見ながら私達に告げる。 「やっと。やっと夢が叶う。 ローズの敵をとることが出来る」 エックスが口元を歪ませて嬉しそうに呟く。 それは、愛ゆえに。 それは、オリジナルのローズのために。 歪んだ愛の形。 …私には、向けられることのない愛。 私は、オリジナルではないのだから。 なのに逆らえないのは、なぜだろう。 クローンに残っているオリジナルの記憶? それとも、オリジナルを殺してしまった私は、彼にたいする贖罪のつもりだろうか。 私はすでに自分の心すらつかめなくなっていた。
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