1616人が本棚に入れています
本棚に追加
「どこへ…」
枯れた声をしぼりだす私に、男はちらりと振り返りながら口を開く。
「お前の力が今から試される。
死にたくなければ、奪え」
奪え?
どういうことなのだろう。
頭の中が混乱する。
何もない私の脳に入り込んでくるたくさんの情報。
戦う。
奪う。
しかしその単語はなぜか気持ちが高揚する。
私は手にもっていた拳銃をぐっと握りしめる。
あんなに重く感じていた銃は、まるで最初から私のものだったかのように、しっくりと手の中におさまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!