序章

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「どこへ…」 枯れた声をしぼりだす私に、男はちらりと振り返りながら口を開く。 「お前の力が今から試される。 死にたくなければ、奪え」 奪え? どういうことなのだろう。 頭の中が混乱する。 何もない私の脳に入り込んでくるたくさんの情報。 戦う。 奪う。 しかしその単語はなぜか気持ちが高揚する。 私は手にもっていた拳銃をぐっと握りしめる。 あんなに重く感じていた銃は、まるで最初から私のものだったかのように、しっくりと手の中におさまっていた。
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