序章

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やがて廊下の突き当たりに、ひとつの扉が現れた。 男は鍵を開けると、私だけをその中に引き入れる。 私が振り向こうとすると、男は私を残したまま扉を閉め、ガチャリと鍵をかけた。 私は振り向くとあたりを観察する。 ここにも窓らしきものは全くなく、明かりすらない暗い部屋。 ただ、ただっぴろい空間の真ん中に、スポットライトに照らされた円筒形の台座があった。 台座の真ん中には、天井までつづくガラスケースに納められたひとつの指輪。 金のリングの真ん中には、澄んだ深い青色の宝石がついている。 私は壁にすがりつくと、息を吐き出し整える。 一体この状況はなんだろう。 考えても考えても答えは出てこなかった。
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