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『おめでとう!合格だ』
「…………は?」
ファイルを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは目が痛くなるくらい装飾された文字だった。
「な、なんだ?コレ」
呆然としながら、下にスクロールすると続きらしい文章が綴られていた。
こちらは文字の色も大きさも普通だったので、俺はホッとした。
こんな手の込んだことをする人物は、一人しか思い浮かばない。
(相変わらずだな、あの人は……)
俺が孤児院にいた頃から変わっていない。
俺は苦笑いを浮かべながら、続きを読んだ。
『――親愛なるレインへ
重要な話がある。お前の指輪の謎、そして記憶を取り戻す手掛かりになるかもしれん。
一つ頼み事をしたいのだ。引き受ける、引き受けないはお前の自由だ』
俺には、10歳より前の記憶がない。
気がついた時には、孤児院のベッドにいた。
背中に致命傷に近いほど深い傷を負って――。
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