†序章† 始まりは唐突に

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俺はその時の痛みを思い出しながら、右手の中指にはめられたシルバーの指輪を引き抜いた。 日に照らされてキラキラ光る指輪には、繊細な細工が施されている。 内側には何か文字が彫られているが、IQ180を超える俺の頭脳をもってしても読むことが出来ない。 この指輪は昔の記憶を持たない俺が、唯一身につけていた物だ。 色々調べたが、指輪について有力な情報は全くない。 これしか、俺の記憶に繋がる手掛かりがないだけに八方ふさがりだ。 こういうのはおかしいかもしれないが、俺自身自分が誰なのか全くわからない。 もしかしたら消してしまいたいほどの過去だったのかもしれないが、自分の素性がわからないのは不安だ。 どんな手掛かりでもいい。 自分が何者かわかる鍵になるなら……。
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