第1話 『落ちてきた機体(アイツ)』

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※ 『―…という訳だ。予定通りなら四日後に、〈スヴァイン〉はイズ基地に納入される予定だ。 そちら側でも準備をしておくのだぞ』 「アイ・サー。確かに了承しました」 少々ノイズが混じった映像に向けて、彼女はゆるく返事をした。 会話相手を『サー』と仰々しい呼び方をする割には、やけに気の抜けた声だ。 『だが気をつけろ。AAランクの機密とはいえ、万全とはいえん。当日は警戒体制を2ランクは上げておけ』 「分かってますって、おじさま。当日は駐留のスクランブル要員に加えて、ウチから〈ファルク〉を一機回しておきます。これならよっぽどの事があっても大丈夫でしょう?」 『念には念を入れるに越した事は無い。アレにはそれだけの価値がある。…それから―』 「それから?」 『秘話通信とはいえ、「おじさま」は止めろと何回も言っただろう。―交信終了』 そう言い残して、モニターの映像がプツッと切れた。 「…ハハッ。相変わらず真面目だなぁ…でも今日はちょっとピリピリしてたかな?」 そう呟いて彼女は椅子の背もたれによっ掛かり、薄暗い部屋の天井を見上げた。 確かに大変なのは、これからだ。 なにせ今度こちらに来る物は、ある意味パンドラの箱より厄介な代物だ。 世界を明るく照らす希望にも、それすら塗り潰す絶望に変わる可能性すら内包したガジェット。 そんな形容がピッタリのマシーンが四日後、この場所に来るのだ。 「ふふっ。大波乱の幕開けになるのかしらね…これは?」 薄く微笑みながら、彼女は虚空に向けて呟いた。 全ては四日後。 そこから始まるのだ
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