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「いてっ」 とりあえず踏んでみた。 「楓酷い…」 涙目のゆっこが呟く。 「ごめんごめん。何かと思って。」 「楓ちゃんの親友のゆっこちゃんだよー!」 その言葉に笑った。 …確かに笑ったはずなのに その瞬間、どこかのネジがとんだみたいに涙が溢れ出した。 「え、楓?どうしたの。」 涙が止まらない。 なんでなんでなんで。 「なん…でもない…。大…丈夫。」 はっきりと喋れない。 大丈夫、大丈夫…? 大丈夫なんかじゃない。 大好きだった。ずっと、ずっと。 君の事だけ見てたのに。 なんでなんでなんで!!! 苦しくて、うまく息が吸えない。 溜めてた物が一気に出てきた。 「…楓。」 ぽつりと呟いて、私の頭に手をのせるゆっこ。 ―辛かったね、沢山泣いていいよ。 言葉がなくてもわかる。 ゆっこはいつもこうだから。 …私も、いつもこうだ。 ありがとう。 ゆっこがいてくれて良かった。 明日になったら笑うから。 今だけ、今だけ泣かせてね。
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