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「だから…もう泣くなよ。俺はどこにも行かない、ずっと一緒に居てやるから…な?」
「…っ……うん……」
かすれるような声。
今にも消えてしまいそうな、誰にも聴こえないような、小さな声。
でも、俺はその小さな声をしっかりと、この耳で聴いた。
「……お兄ちゃん…」
「ん…なんだ?」
「……死んじゃ…駄目だよ?」
「…大丈夫、俺は生きるよ。俺がお前を独りにして死ぬわけないだろ?」
ほぼ全身に包帯を巻かれている。そんな状態なのに、ほとんど強がりな状態だったのに、俺はその子の頭を撫でてやった。
ただ、俺の目の前にいる小さな女の子を安心させたかった。…ただ、それだけだったんだ。
……約束だ。
絶対独りにはさせない。
守らなければならない、約束。
そう決心し、俺はゆっくりと目を閉じた。
。
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