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「全く、新入生を襲うとはふてぇ野郎だな四季野(シキノ)冬夜!来い!職員室でお説教だ!」
「い、いや違うんですよゴリ先生!あいつは俺の妹で俺の為にお弁当を…」
「言い逃れの言い訳なんざ無用!!黙ってついてこい!でないと出血するまで掘るぞ!」
「は、はははいいいいい!!」
そのまま冬夜は後藤先生、通称ゴリ先生に連れて行かれた。
「ははは、ずいぶん久しぶりですよ、冬夜が冬子ちゃんを抱きしめる姿を見たのは」
「もう!兄さんったら…」
そんな冬夜とゴリ先生のやり取りを見ていた周囲の生徒たちは大爆笑。一時チラシ配りを忘れる程であった。
「この前は僕も抱きしめられましたよ、どこぞのガキ大将のセリフを叫んでね」
「もう!抱き締められる身にもなってもらいたいです…!」
「おや…?にしては、何故そんなに顔を真っ赤にして、嬉しそうな顔をしているのですか?」
「!」
完全に不意を突かれ、顔を真っ赤にしたまま、何も言えなくなってしまった冬子。
そう、嬉しかったのだ。
冬夜は、ちょっとした感動でも、抱き締めて褒め言葉を叫んだり、囁いたりする。もはや癖としか言い様のないものであったが、そんな冬夜の癖をあえて自宅で利用し、褒められる要素を作り出して………とまぁ、二人以外に誰も居ない場所で、この場では恥ずかしい事を自宅では、あ・え・て・するのである。
そんな冬子を見て、佐賀は微笑んでいた。なんとも和やかな光景である。
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