1160人が本棚に入れています
本棚に追加
休み時間中の教室にはまだ担任の教師がいたが、後藤先生に呼び出されていたと言う事実を武器に訳を話し、何事も無かったかのように着席した。
「さーて、いただきまーす」
着席した俺は早速、冬子が持ってきてくれた弁当箱を開けた。
「ほぉ、なかなか美味しそうなお弁当ですね」
すぐ前の席に座っているのは佐賀。席順は出席番号順である為、『佐賀』の次に、俺の苗字の『四季野』がくる訳だ。
「む!やらんぞ」
「あげる、あげないかは冬夜の自由ですが、先ほど、後藤先生から救ってあげた恩を忘れた訳ではありませんよね?」
「その笑顔でそう言われると、あげないといけないみたいじゃねぇか」
「そこの飾りのミニトマトで結構ですよ?」
「…しょうがないな、ほらよ、戦利品」
「有り難く頂戴致します」
そう言って、佐賀は戦利品のミニトマトを口に放り込んだ。
俺も早速、卵焼きを口に運んだ。
「…あぁ…………美味い…」
今さらながら、朝の食卓の内に、温かいまま食べたかったと後悔した。
。
最初のコメントを投稿しよう!