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早く四限が終了しないかと願いながら下界を見ていたその時。
「……を」
とある一人の女の子が校舎から出てくる。…間違いない。
「冬子ー」
だが、すぐそこの扉の向こうではゴリ先生の授業が行われているので、大きな声は出せなかった。
だからせめて気持ちだけ。
超小声で妹の名前を呼ぶ。
その瞬間、冬子がピタッと、歩くのを止め、辺りを見回した。
「?」
何をしてるのかと思いながら見ていたら、校舎三階の廊下の窓から顔を出している俺と目があった。
え、すげぇ。今の俺の小声……聴こえたの?
途端、冬子の顔がパァッと明るくなる。何という神スマイル。
で、そのままさっき出てきたばかりの校舎へと入っていく。
……え、まさか。
いや、そのまさかだ。
…ここに来るつもりだ。
駄目よ冬子ちゃん、来ては駄目、私を置いて逃げてー!
わたくしのクラスはまだ授業中。そんな時に来られて、ゴリ先生に見つかったら…。
『…はっはっは!仕方ない!今夜はお前を貫通させるか!!』
ギョエエエエエエ
ネタだと分かっていても、いつ本気になるか分からないから…、それがまた恐怖。
。
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