一話

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桜の花が満開な4月初旬。今年、俺は高校2年生になった。 他の学年は『卒業生』とか『新入生』とかいう呼び方で春の主役になるのだが、進級した俺ら元1、2年は『在校生』という地味な脇役ポジションだ。 ……そうそう、『新入生』といえば、今年から俺の妹がこの学校の生徒だ。 あいつは完璧な頭脳の持ち主であるはずなのに、まさかこんな普通より少し上程度(B+)の高校を受験するとは思わなかった。 まぁそれはそれで、これから楽しくなりそうだ。そして今日はその新入生たちの登校初日目。体育館で入学式をするので、その体育館入口前で朝早くから部活勧誘のチラシを配っている。朝があまりに忙しかったもんだから、妹が作ってくれる朝食を食い損ねた…畜生。 新入生が続々と来るのだが、部活勧誘のチラシは全く減る気がしない。文化部なのに、こんなにチラシが必要なのか?明らかに印刷のし過ぎだ。 そんな事を考えていたら、一足遅く家を出てきた妹が、この体育館前にやってきた。 。
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