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「おや、どうしたんです?冬夜(トウヤ)」
次の瞬間、同じ茶道部のダチが寄ってきた。……ちなみに、冬夜って言うのは俺の名前。
「あぁ冬子ちゃん。おはようございます」
「佐賀さん、おはようございます」
二人が敬語で挨拶を交わす。奴は佐賀 忠(サガタダシ)。簡単な説明をすると、こいつとは幼なじみであり悪友。そんな間柄。
「冬子ちゃんは茶道部に入るので?」
「はい、昨晩兄さんに、良かったら入らないかと言われたので」
「ほぅ、さすが冬夜ですね。昨日の内にもう勧誘してたんですね」
「あぁ、どうせだからって思ってさ」
そんな雑談を交わしていると。
「あ、そうだ、兄さん!どうして朝食も食べないで行ってしまったんですか!」
話題を切り替え、冬子が少し怒ったような表情で尋ねてきた。
「い、いや、俺だってお前の作ってくれる朝食は食べたかったさ!だけど昨日、印刷機がぶっ壊れてさ…」
「今日の早朝、やっと印刷機が復旧して、部活勧誘のチラシを印刷できたって訳ですよ」
残りの文章は佐賀が読み上げてくれた。
「まだ印刷してない部活がありましたからね、そりゃもう大変な騒ぎでしたよ。あんな朝早くに担任から電話がくるなんて思いもしてませんでしたからね」
「それで…あんな早朝に?」
「そう!」
佐賀の言葉の通りなんだ。信じてくれ。
「…そうだったんですか。すみません、怒ったりして」
を、分かってくれたか。
。
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