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「あ~……ごめん、ごめん。そんなに怒らないでよぉ。ねっ?ごめんなさぁ~いっ♪」
「…………」
僕は、心ゆくまで笑われた二人に背中を向け、頬を膨らませたまま黙っていた。
「……ふぅ。ユリヤお姉さまが、これほどまでに謝っておられると言うのに。まったく、心の狭い男だこと……」
僕の背中越しに、ミレイさんの毒が、ため息とともに聞こえてくる。
でも……。
「……謝罪の言葉に、誠意が感じられません」
僕が、背中越しにそう言うと、おそらく、ミレイさんのものであろう、ため息が聞こえてきた。
「レディが謝罪の言葉を述べたなら、言葉じりはともかく、素直に受け入れるのが、紳士と言うものではないですか?
そんな事だから、路頭に迷って、ユリヤお姉さまのお手を煩(わずら)わせるんですよ!」
「って、何でそこまで言われなきゃいけないんですか!」
売り言葉に買い言葉、思わず振り返ってしまった僕に、ユリヤさんが優しく微笑む。
「まぁまぁ。ここはほら、これから寝食を共にする仲間になったって事で、大目に見てよ、ねっ?ねっ?け・い・く・ん♪」
そう言いながら、笑顔で僕の頬を、人差し指でつついて来るユリヤさん。
そんな僕らを、頬を膨らませながら、ミレイさんが睨んでいた。
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