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僕の名前は、瀬櫛井 圭(せくしい けい)。
この変わった名前とは裏腹に、容姿はごく普通で、人ごみに紛れると、空気に同化できるんじゃないかって言うくらい、存在感は、ない。
今回、希望する大学に落ちて、予備校に通うべく、一人暮らしを始める為、都会へ出て来たのはいいんだけど、これがまた……。
親元で暮らしていた頃は、ご飯もお風呂も、ついでに洗濯だって、受験生って事で、お袋がやってくれた。
……だけど今は、いや、これからは、何でも一人でやらなきゃいけないんだ。
「と、言う事で、まずは宿探しからだ。えぇ、と、地図ではこの駅を降りて、歩いても10分くらいの所なんだって書いてあるけど……
いかんせん、こんな簡単な地図じゃあ、現在地だって良く判らないよ……」
お袋の知り合いだという、不動産屋から紹介されたアパートの地図は、FAXで届いたものらしく、文字がかすんでいて、よく見えなかった。
しかも、その道筋までもが、まるでマジックで書いたアミダくじの様なものなんだから……
これでたどり着けって方が、そもそも間違っているよね?
「あ、そうだ。電話番号、控えてあったんだっけ。って、あれ?メモ、どこへやったっけかな?えぇ、と……」
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