セクシィけいの大作戦～怪盗はロワイヤル～

思い立ったが、吉田引く1

　
　不動産屋さんの電話番号が書いてあるメモを探そうと、服やズボンに手を入れながら歩いていた僕に、突然、男の人がぶつかってきた。

「うわっ！？あ、ご、ごめんなさい！ちょっと、よそ見をしていたものですから……」

　すると、その男の人は、明らかに、こちらの国の言葉ではない言葉で２～３、早口でしゃべった後……

　何を思ったか、僕が背中にかけていたショルダーバッグに手をかけた。

「えっ！？」

　と、僕が声を出したのと同時に、その男の人は、僕の腕からバッグを奪い取ると、もと来た道へと走って行ってしまった。

「……って、ど、泥棒～っ！」

　僕の叫びで、周囲にいた人も、何かが起きたんだとわかった様子で、何事かと振り返る。

　でも、これだけの事が起きているのに、近くにいた人は、気づかなかったのかな？

　……それとも、これがこの国の日常になりつつあるのだろうか……。