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その後、交番を案内された僕は、そこにいたお巡りさんに、盗られたものなどを記録してもらっていた。
「えぇ、と。それで全部かな?君も、来た早々に大変だったねぇ?まぁ、この町では最近、外国人による引ったくりが多発しているから……
君も、気をつけるように。って、もう遅いか」
そう言いながら、体格のいいお巡りさんは、記録した用紙が付いたクリップボードをうちわ代わりにして、自分の顔をあおぐ。
「はぁ。でも、財布を持って行かれなかったのは、不幸中の幸いでした。
こんな広い所で、知り合いもいないのに、無一文のまま放り出されていたら、どうなっていた事か……」
それを聞いたお巡りさんは、僕に、明らかな同情の目を向ける。
「えぇ、と。君の行きたがっているアパートね、地図の様子からして、多分ここだと思うんだけど……
ちょっと、待っててね?今、電話で確認取るから」
「あ、ありがとうございます。お願いします。
もう、引っ越す予定の所に、荷物は届いているはずですので……
たどり着けばそれで、しばらくは大丈夫です」
そう答えて、僕は机に置かれた、自分に出されたお茶を一口すすった。
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