思い立ったが、吉田引く1

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   すると、そのきれいなお姉さんは、放心状態の僕の腕を引っ張って、歩き始めた。     「っえ?ちょ、あ、あの……」     「見た所、多分、今夜から泊まる所がないんでしょ?ウチにおいでよ。    ほとぼりが冷めるまで、何日だって泊まって行っていいからさ?」     「な、何日、でも……?」    笑顔で答えるお姉さんの顔を、まともに見ることも出来ずに、僕は、うろたえながら腕を引かれるまま付き従う。     「あたしの所もアパートだから、そんなに広くは無いけど、同居人もいるから、にぎやかで良いよぉ?」    ……な、なんだ、同居人もいるのか。と、ちょっと残念な気持ちになったり、ならなかったりもしたけれど……    そんな事は、おくびにも出さず、僕は腕を引かれるまま、お姉さんの横を並んで歩いた。    そして歩く事、数分。着いた先は、もう一つの方のアパートだった。    ……とは言え、この近所にアパートは2軒で、このお姉さんもアパート住まい、と言ったら……    必然的に、導き出される答えなんだけど、ね。
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