6人が本棚に入れています
本棚に追加
すると、そのきれいなお姉さんは、放心状態の僕の腕を引っ張って、歩き始めた。
「っえ?ちょ、あ、あの……」
「見た所、多分、今夜から泊まる所がないんでしょ?ウチにおいでよ。
ほとぼりが冷めるまで、何日だって泊まって行っていいからさ?」
「な、何日、でも……?」
笑顔で答えるお姉さんの顔を、まともに見ることも出来ずに、僕は、うろたえながら腕を引かれるまま付き従う。
「あたしの所もアパートだから、そんなに広くは無いけど、同居人もいるから、にぎやかで良いよぉ?」
……な、なんだ、同居人もいるのか。と、ちょっと残念な気持ちになったり、ならなかったりもしたけれど……
そんな事は、おくびにも出さず、僕は腕を引かれるまま、お姉さんの横を並んで歩いた。
そして歩く事、数分。着いた先は、もう一つの方のアパートだった。
……とは言え、この近所にアパートは2軒で、このお姉さんもアパート住まい、と言ったら……
必然的に、導き出される答えなんだけど、ね。
最初のコメントを投稿しよう!