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少女はローエルを見つめる。フンッと鼻を鳴らし、ライフルを降ろした。
「馬鹿な奴だ。私の名前は、月(ルナ)…って言っても芸名だけどね。これは私の弟、海(カイ)」
ローエルはふと、足元にくっつく、海という美少年を見た。
目が合う。
「お兄ちゃん…」
「?」
「蝋人形になりませんか?」
ローエルは余りのギャップに噴き出す。
「海はこんな奴だ」
「…で、芸名ってあんたは?」
「私は有名人だ。私を見て分からないの?」
ローエルはしばし、月を見つめた。
何処かで見た事がある。
「あ」
分かった。彼女はテレビで見たあの子だ。
「分かったか馬鹿め。私達は今、ちょっと此処に撮影で来ている。此処が撮影場所」
そう言って、この丘を指差す。
「しかし、困った事になった」
ローエルは首傾げた。
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