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月は胸の前で両手を合わせて
「私はね、今怪盗をやってるの」
「!?」
「沢山の宝が集まっていくの。今、ちょっと仲間はバラバラで活動しているけれど、あなたが入れば、楽だと思う」
不敵に笑っていた。
「月、君は歌手だろ!?」
「えーそうよ。これも弟と生きていく為の資金集め。それに怪盗をやれば、弟ももっと喜んでくれる。皆優しいの…」
月は、茶を飲む。
「それにこれは私の意思」
ローエルは俯く。
「良いでしょ?ローエル。こういうのも人生につきものよ」
「・・・唯欲しいものを盗むだけなのか?」
「えぇ。時には他の怪盗から盗むときもあるわ」
ローエルは眉をしかめ、黙り込んだ。
「それに私達はまだ子供。誰も分からないし、気にも留めないわ」
その話を聞いたローエルは考えた。自分なりに考えた。
じいやの考えとは、逆のもの。
悪だ。
でも彼女を放っておけない。
こんないい歌声を持っているのに
悪に染まることなんてない。
ローエルは、顔を上げた。
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