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ローエルは夜になると、アジトを抜け出して、月の元へ向かった。
何も言わず、反抗もせずに月達の手伝いに精を出す。
ターゲットが追って来れないよう、ローエルの罠が大活躍だった。逆に肉弾戦を強いられる時もあった。
徐々に彼の身体が毎朝、起きると傷がついていく事に兄弟達は気付き始めた。それでもローエルは、何でもない、という顔で、兄弟達に隠して続けた。
あれから、また、二年が経つ。
ローエルは16歳。
何事もなく、月の手伝いをしている。
彼の心は、モヤモヤで一杯だった。
「さて、ローエル。生活に困ってるだろう?」
そう月の自宅に来ていた時、月が言ってきた。
「…そんな事…ねぇよ」
ローエルは彼女から目線を外した。
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