とある、三人の怪盗。

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 ――昔のそのまた昔。まだ幼かった三人はある孤児院で出会い、共に育ってきた。  桜が舞う頃だった。 「僕は大怪盗を目指したい!」  大きな岩の上で仁王立ちで身体が細く弱々しい少年が突然言った。 「馬鹿じゃないの?成れる訳ないじゃない!」  下から彼を見上げる小汚い顔にニキビが目立つ少女は腕を組んで、少年の言葉を否定した。  唯の子供の妄想にすぎないと思ったのだろう。 「ぼ、僕はなるんだ!」  少年は少女に言い返した。 「絶対なるんだ!ね、君も思うだろ?」  彼は、岩の影に目を向けた。  気付かなかったが、岩の影には、前髪が長く、その髪の隙間から見えるは釣り目気味の目をした少年がもう一人、そこに寄り掛かって、座っていた。
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