過去の序章に過ぎず。

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2 「此処が新しい家じゃ」  じいやは、三人を招き入れた。三人はいそいそと入る。  そこは、外から見れば、普通の家。しかし、中へ入れば、数十人の人と入り組んだ家の構造。中だけは、達者な物だった。 「じいや、新しい新入りか」  一人の男が言う。 「あぁそうじゃよ」  三人は、お辞儀をする。 「さて三人共。明日、御主らにはついて来てほしいんじゃが」  帽子や杖を物掛けに掛けると、ソファーに腰掛けた。三人は荷物を端に置き、テーブルを挟んだじいやの向かいのソファーに三人並んで、腰掛ける。 「いやなに、大したことではない。ちょっと腕試しに行ってほしいだけなんだが」  カップに淹れられた茶を一口啜る。 「明日の朝頃に家を出るからの。今日はゆっくり休むといい。暇なら家の中も探索すればよい」  ホッホッホッ、とじいやは笑った。  部屋にそれぞれ案内された三人は、椅子やベッドに座ると、大きく息をついた。 
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