ダルマ男

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「ナマエハ、ヒラタフトシ。セイベツ、オトコ」 うん。 なぜかカタコト。 「普通に読んでよ!」 「ごめんごめん。じゃあ最初から。名前は平田太志。性別は男。似ている有名人、お相撲さん」 お相撲さん 範囲広すぎだろ。 「平田財閥の一人息子で……」 「待って!今何て言った?」 「平田財閥の一人息子って言ったけど」 嘘でしょ。 「平田財閥って言ったら日本有数の金持ちグループだよ?」 まさかそこの一人息子だなんて。 あり得ないでしょ。 「へぇ。そんなに有名なんだ」 晃くん反応薄っ。 あたしの話を聞き、慶は心配そうに顔をしかめた。 「なおさら姉ちゃんが心配だ」 「どうして?うまくいけば玉の輿だよ?」 どう頑張ってもなかなか知り合える人じゃない。 明日香さんはラッキーだったんだよ。 だけど慶は険しい顔でこう言った。 「そういうお金持ちのお坊ちゃんには、親に決められた相手がいるもんだよ」 「あ……」 たしかに。 言われてみればそうかもしれない。 「花男で学んだんだ」と、慶は得意気に言った。 知識はマンガから得る男。 ますます悲しい。 .
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