ダルマ男

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「明日香さんは騙されてる可能性があるね」 晃くんが探偵口調で言った。 完全に面白がっているように見える。 「何とかしねぇーと……」 慶は“考える人”のポーズだ。 意味がわからない。 「奴にお願いするしかないかな」 小さく溜息をつき、慶が決心したようにスッと立ち上がった。 「まさか!?奴は危険すぐるだろ!?」 “すぐる”て。 晃くん噛んでるよ。 「もう他にいないんだ!弥生、晃、止めないでくれ」 あたしは止めていないよね。 それでも晃くんは引き下がらず、慶に体当たりしては地面に倒され、また向かっていく。 「ドラえもんの力を借りなくても、僕ぁジァイアンに勝つんだ」 晃くん、完全にのび太くんになりきってるね。 「弱虫のび太~」 慶も乗るな! 見るに見かねたあたしは、2人の間に割って入った。 「いい加減にしなよ。話がややこしくなるから」 「あ。ドラえもん……」 そう言った晃くんの右頬をグーで殴ってやった。 ジャイアンはあたしだね。 .
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