魔性の女

5/5
前へ
/42ページ
次へ
「弥生は何かない?」 慶から突然の質問。 まさかあたしにくるとは。 とりあえず適当に。 「道端でぶつかって派手に転べば?ダルマさん優しそうだし、きっと仲良くなれるんじゃない?」 自分で言って呆れた。 古典的過ぎだろ。 はい。却下、却下。 「それいーなぁ」と慶。 「うんうん。ナイスだな」と晃くん。 ナイスという言葉の意味、間違ってないか? 「じゃあそうしよ」 蘭の一言で決定した。 こんなのでいいの? 先行きがもの凄く不安です。 とりあえず第一回ダルマ会議を終え、ファミレスを出たあたしたち。 蘭のことは晃くんが送っていくらしい。 晃くんは明らかに蘭のこと好きそうだ。 「うわぁ、もう暗いねー」 22時を回り、薄暗い空にぼんやりと月が浮かんでいる。 「ごめんな、付き合わせちゃって」 少し冷静になったのか、申し訳なさそうに謝る慶。 「ううん。心配な気持ち、あたしもなんとなくわかるから」 慶の100分の1くらいだけどね。 あたしの手を包むように握り、穏やかに話す慶はやっぱりいつもの慶で。 明日香さんのことになると突っ走ってしまうけど、 あたしは慶が大好きなんだって、実感する。 今はただ、 ダルマが悪い奴じゃありませんように。 そう願うばかりだ。 .
/42ページ

最初のコメントを投稿しよう!

595人が本棚に入れています
本棚に追加