作戦A

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いよいよ作戦決行の日が訪れた。 ダルマさんごめんなさい。 とりあえず先に謝っておこう。 「今日はダルマが姉ちゃんを駅まで送る日なんだ」 木陰に隠れながら慶が言った。 前日に明日香さんから仕入れた情報らしい。 彼は本気だ。 蘭はいつも以上にメイクを念入りにし、なおかつ香水もきつめである。 やる気が溢れているね。 いいことだ(先生口調)。 晃くんは。 まあ、どうだっていいか(可哀想)。 「あ!姉ちゃんが来た」 こちらに向かって歩いてくる男女を指差し、慶が鼻の穴を膨らます。 長い手足を優雅に動かし、モデルさながらの明日香さん。 遠くからでもずっと眺めていたい。 いや、むしろ拝みたいくらいだ。 嫌だ。 視線を隣に移したくないよ。 笑顔の明日香さんの隣には、本物のダルマがいた。 「え?力士?」 土俵に塩を振りまいている姿が安易に想像できる。 よし。 これからは力士と呼ぼう(勝手に)。 .
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