作戦A

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さすがに明日香さんの彼氏を“ダルマ”や“力士”と呼ぶには気が引ける。 こうして本物を見てしまったわけだし。 素直に太志と呼ぶことにした。 太志の第一印象として、背はそれほど高くない。 体重は……想像できない。 でも何かのマスコットみたいで、可愛く見えなくもない。 地方にいるよくわからないキャラクターのようだ。 「ああ。俺の姉ちゃん……」 ハンカチを口に加え、悔しそうな慶の肩を抱いた。 晃くんは隣で流行りのお笑い芸人の真似をしている。 それがあまりにも似ていなくて、殴りたくなった。 近づいてくる2人。 「蘭ちゃん!作戦Aだから。よろしくね」 蘭の手を両手で握りながら、慶は瞳をギラつかせる。 「まかせて!Aね」 いや。 作戦はAしかないから。 蘭はひらひらと手を振りながら、先回りするためにいなくなった。 いよいよ作戦決行だ。 太志は明日香さんが改札を通るのを見送ると、駅に背を向けて歩きだした。 あたしたちは足音をたてないように、太志の後を追う。 1人を追う3人。 バレバレだ。 蘭は先回りをして次の角で太志を待っている。 やばい。 ドキドキする。 太志が良い奴か悪い奴か、あたしたちが証明してみせる(余計なお世話)。 待っててください。 明日香さん! .
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