作戦A

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計画通りに太志が大通りの角にさしかかった。 今だ! ドンッ。 鈍い音とバサバサという音が同時に響いた。 太志と肩がぶつかった蘭が、持っていた教科書を落としてしまう。 ついでに蘭も派手に転ぶ。 これが作戦Aだ。 別名“廊下でこんにちは”らしい。 ネーミングセンス0。 しかも廊下ではない。 校内でもないのに、手で教科書を持っていることがおかしいと思うのだが、今はそんなことを言っている場合じゃないよね。 視線の先には、計画通り転んだ蘭と、 申し訳なさそうに謝りながら教科書を広い集める太志がいた。 中腰になってはいるけど、お腹の肉が邪魔そうだ。 これから騙されるとも知らずに素直に謝る太志が、何だか不憫に思える。 だけど、これも全部明日香さんのためだと言い聞かした。 「すみませぇん。ぼんやりしていたものでぇ」 瞳を潤ませながら、甘えモード全開で太志に媚びながら、蘭は腰をくねらせて立ち上がった。 くぅ~。 可愛すぎる! 「きゃぁっ」 それからすぐに、わざとらしくよろめき太志の体にもたれかかる蘭。 うん。 百点! こんなことされたら神様や仏様でもイチコロ(死語)だよね。 豊満なバストが太志の腕に押し付けられているのがわかる。 どう出る。 ふとっちょ。 .
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