作戦A

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「大丈夫ですか!?」 太志は手足を不器用にバタつかせ、本気で心配している。 胸が押しあてられていることには、まったく気がついていないようだ。 ああ。 脂肪と脂肪がぶつかっているからわからないのか。 太志の腕の脂肪を恨んだ。 「僕の父が経営する病院が近くにあるから、検査だけでもしましょう」 太志は蘭の体を軽々と持ち上げ、あっという間にタクシーに乗り込んだ。 勢いよくエンジン音と響かせ、クラウンのタクシーは見えなくなった。 「行っちゃったね」と慶。 行っちゃったね。じゃないだろ。 いいのか、行かせて。 もし太志が赤ずきんちゃんを襲おうとした悪い狼みたいな奴で、 これからあんなことやこんなことをしようとしたら、どうしたらいいの。 なんて たいして心配ではない。 太志は悪い奴には見えなかったし、蘭なら間違いなく逃げられると思う。 彼女は“魔性の女”だからね(関係ない)。 「とりあえず蘭からの連絡を待つしかないな」 追跡はひとまず断念し、あたしたちはいつものファミレスで蘭を待つことにした。 今も興奮して頭の中はアドレナリンでいっぱいだけど、 太志を騙すことに、胸が少しだけ痛んだ。 .
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