作戦A

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2時間後。 満足気な顔をした蘭が、短いスカートをなびかせながらファミレスに入ってきた。 顔を見ただけでわかる。 どうやらうまくいったらしい。 慶はテーブルに体を乗り出し、息を荒くする。 獣か。 やめて欲しい。 「どこから話そうかな」 蘭はしたり顔でもったいぶり始めた。 「お願い……。お願いだから、早くぅ」 切ない表情で蘭に媚びる慶。 若干気持ち悪い。 明日香さんのことになると我を忘れてしまうのね。 運ばれてきた水を一口喉に流し、蘭はにやりと笑った。 「家庭教師になってくれるって」 家庭教師? 意味がわからず、あたしたちはポカンと口を開けアホ丸出しだ。 だって作戦Aにそんな計画はなかった。 偶然を装ってぶつかる。 仲良くなる。 うん。 作戦Aはそこまで。 作戦と呼べる内容ではないよね。 「さすが蘭ちゃんだね。どうやったの?」 晃くんが訊く。 あたしも気になるから、ぜひ聞きたい。 .
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