嫉妬心

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「今日は俺の家で遊ぼう」と慶に誘われ、学校帰りそのまま慶宅に行くことになった。 翌日に第一回ダルマ家庭教師作戦を控え、その話もしたいようだ。 まあ、たいした話ではないだろうけど。 「慶の家行くの久しぶりだね。明日香さんいるかな?」 「たぶん姉ちゃんいるよ。みんなでWiiやろっか」 「うん」 ついでに太志のことを訊いてみようと思った。 淡いクリーム色をした2階建ての一軒家の前で足を止める。 ここが早川宅だ。 庭には色とりどりの花が咲き、手入れが行き届いている。 「いつ来てもお花が綺麗だね」 花の種類はわからないけれど、小さく咲いた花に触れた。 「母さんが庭いじり好きなんだよね」 慶の家族は温かい。 慶が優しく育った理由は、きっとそこにあるんだろう。 度が過ぎるシスコンが、たまに傷だけれど。 「ただいま」 「お邪魔しまーす」 慶のあとに続き、玄関に足を進めた。 「痛っ!」 急に足を止めた慶の背中に、顔面が衝突した。 「ちょ!急に何?」 体を乗り出し、玄関に並んだ靴に目を向けた。 明日香さんのサンダルの隣に、見たことのない革靴が並んでいる。 綺麗に磨かれていて、ホコリひとつついていない。 見るからに高額そうなそれの持ち主は、慶と確認しあわなくても誰のものかわかった。 「ダルマが……いる」 慶の顔から血の気が引いていた。 慶自身太志のことは明日香さんが持っていた写真と遠目からしか見たことがなく、 今回間近でご対面するのは初らしい。 やばい。 楽しみすぐる! 晃くん並に噛んだ。 .
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