嫉妬心

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聞こえる。 リビングから笑い声が。 明日香さんの声に混じり、男性の声にしては若干高めで、柔らかい声色が耳に届く。 間違いない。 太志がいる。 この間太志を見たけど、間近で見るのは初めてのこと。 ドキドキしちゃうよ。 不機嫌な慶の腕を引き、声のするリビングに向かった。 「こんにちは」 キッチンに立ちコーヒーカップを手にする明日香さんに、まずは頭を下げた。 「いらっしゃーい。久しぶりだね弥生ちゃん」 満面の笑みで迎えてくれた明日香さんに、あたしの目尻も下がる。 やっぱり明日香さんは綺麗だ。 どこからどう見ても、パーフェクトボディ(ケイン風、しつこいね)。 明日香さんはコーヒーカップをテーブルに置くと、リビングのテーブルの前に立つ大きな人間の隣に素早く移動した。 あたしも視線を移す。 うん。 本物登場。 「紹介するね。慶も会うのは初めてだよね。彼氏の平田太志さん」 「はじめまして。平田太志です」 ピタピタのポロシャツに、ちょっぴりきつそうなグレーのパンツ。 真っ白なモチモチした肌は、染みひとつなさそうだ。 迫力満点。 .
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