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「こちら、弟の慶の彼女で弥生ちゃん。可愛いでしょ？こっちが慶」
明日香さんが太志に紹介してくれた。
あたしは相変わらず不機嫌そうに眉にシワを寄せる慶の頭を無理やり下げ、「はじめまして」と口にした。
太志は溢れんばかりの笑顔で、芸能人並に真っ白な歯を覗かせている。
さすが金持ち。
抜かりはないな。
「明日香ちゃんから話は聞いているよ。自慢の弟の慶くんと、可愛い彼女の弥生ちゃん」
ほんわかした笑顔で微笑む太志は、やっぱり悪い人間には思えない。
慶はふてくされたように口を尖らし、太志を見ようともしない。
「太志さんの好きな食べ物って何ですか？」
しまいには、こんなことを訊き出した。
慶は今、嫉妬に狂っているらしい。
「もちろん、ちゃんこだよ！」
太志より先に明日香さんが答えた。
「え～。ちゃんこは好きだけど一番じゃないよ～」と太志。
明日香さん
完全にふざけてるな。
見つめ合って笑い合う太志と明日香さん。
まさに、美女と野獣(失礼)。
だけど、明日香さんの笑顔は今まで見てきたどの笑顔よりも輝いて見えた。
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