素敵姉弟

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翌日、予定通りに家庭教師作戦が決行されることになった。 正直気が進まないという気持ちが本音だけれど、慶が納得するまでとことん付き合うことにした。 「いいか?俺たちのほうは絶対見るなよ?俺と弥生は顔がバレてるからな」 「うん、わかった」 蘭に指示を出す慶の顔は、かなり本気だ。 太志と蘭は、駅前のプリンセスルームという最近流行りのカフェで勉強をする約束をしているらしい。 今回もそれを尾行する。 うん。 単純明快だね。 だけど前回とは違い、あたしたちは私服に着替えて尾行する予定だ。 さすがに制服でウロウロするのは目につきやすい。 まあ、そう変わりはしないだろうけれど。 一応用意したハットとサングラスをかけ、準備万端。 いつでもかかってこいやー!(高田氏)状態だ。 今日はビルの隙間に身を潜め、太志を待つ。 待ち合わせ時間の5分前、太志がリムジンで現れた。 さすが坊っちゃん。 でもなんか腹が立つよね。 「ごめんね。待たせちゃったかな?」 勉強道具を入れた鞄を斜めに掛け、蘭に数回頭を下げた。 「全然待ってないですぅ~」 相変わらずのブリブリ口調で太志に擦り寄ると、2人はカフェの中に消えた。 「よし、行こう」 慶の声と同時にあたしたちもカフェの中に突入した。 .
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