素敵姉弟

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まさか断られるとは。 驚いた表情で固まっている蘭と、相変わらず汗を拭っている太志の前に慶は足をすすめた。 一体何をするつもりなの? 気が気ではない。 「蘭ちゃん。ありがとう」 放心状態の蘭にお礼を言って、晃くんに蘭を任せると、慶は太志の前にドカッと座った。 「慶くん、どうしてここに?」 太志は突然の出来事に目をぱちくりさせている。 そりゃそうだ。 急に彼女の弟が登場したんだ。誰だってビックリだよ。 「さっきの女の子は、俺たちがわざとアンタに近づくように仕向けた」 「えぇ!?」 太志はマスオさんのような声を出した。 あたしは息を飲んで2人の様子を伺っている。 「アンタすげー金持ちだろ?俺、姉ちゃんは騙されて遊ばれてるんじゃないかって、ずっと心配だったんだ」 太志から視線を逸らしたまま、慶は本当の気持ちを語りだした。 「やっぱり、慶くんは明日香ちゃんが言っていた通りの子だね」 太志はニコニコと笑う。 「え?」 今度は慶が驚いたようにうつむいていた顔をあげた。 .
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