素敵姉弟

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「あれー?何で慶と弥生ちゃんがいるのー?」 聞き覚えのある声に目を向けると、そこには明日香さんが立っていた。 「あ、明日香ちゃん。遅かったね」 太志は素早く席を立つ。 「これからデートですか?」 明日香さんに訊ねた。 「勉強教えるの手伝おうと思って。太志だけじゃちゃんとできるか心配だし」 明日香さんはそう言ったけど、もしかしたらちょっとヤキモチを妬いたのかもしれない。 太志はまったく気づいていないようだったけれど。 「じゃあ僕は行くね」 あたしたちの分の伝票も手に取り、レジに向かう太志。 やっぱり奴はなかなか出来るオトコだね。 「いいの?慶。太志いっちゃうよ?」 黙ったままの慶の腕を揺すった。 ちゃんと自分の口で言わなきゃいけないことがあるんじゃないの? 「うん。行く!」 慶は顔をあげると勢いよく店を飛び出した。 やっぱり慶は格好いいよ。 「ごちそうさまでした」 清々しい気持ちで店を後にした。 .
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