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次の日。
いつものように学校に行くと、死んだ魚の目をした慶が力なく机に突っ伏していた。
これはかなり重症だ。
「ちょっと慶、大丈夫?」
話し掛けても肩を揺すっても、まったく反応がない。
仕方ないので放っておくことにした。
優しくないって言わないでね。
あたしだけじゃなくて、慶の親友でもある晃(アキラ)くんだって放置だもの。
お昼休みになって、晃くんとあたしで慶を何とか外に連れ出した。
相変わらず目は死んでいる。
「明日香さんと何かあったのか?」
噴水の前に置かれたベンチに慶を座らせて、晃くんが訊いた。
「姉ちゃんが……俺のこと嫌いだって」
え!?
そんなクダラナイこと!
なんて、言っちゃいけないよね。
明日香さんの一言は、こんなにも慶に大きなダメージを与えるんだね。
ある意味すごい。
「何で嫌いなんて言われたんだ?何か理由があるんだろ?」
さすが幼稚園からの親友の晃くん。
慶のシスコン対応には慣れている。
慶は綺麗な顔を悲しそうに歪ませる。
そしてまた、涙目になる。
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