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一章は体の力を抜いた。
「……俺はもうこんなことに巻き込まれるのはごめんだ。ヤス、こんなことが二度とないようにしっかり教育しとけ!!」
一章は怒りに震える体をどうにか落ち着かせ低いがはっきりと聞こえる声で目の前の俺たちを一蹴した。
「ももも申し訳ありませんでしたぁぁ!今後このような事が二度とないようにしっかりと指導します」
「謝れ」
「え?」
「彼女に謝れ」
ヤスは鼻血を出して転がっている男と地面に転がっている男達を真咲妃の前まで連れて来ると深々と頭を下げさせた。
「すみませんでした!」
その勢いに真咲妃は「い、いいえ」としか言えなかった。
一章は振り返り、座っている真咲妃の前までやってくるとひょいと真咲妃をお姫様抱っこをして持ち上げた。
「きゃっ、何?」
「足痛めてるでしょう」
「歩けるよ。下ろしてっ」
「ダメ、車まで運びます」
そう言う一章の顔はいつもの優しい顔だった。
一章は男達が開けた道の真ん中を真咲妃を抱きかかえながら歩いていった。
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