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「これは一体どういう事だレオニール殿?
無駄に軍力を浪費し、遂には決着がつかず、今や我らは両国より攻められているではないか!」
共にネクロスを支えていた保身派の幹部からの責めを俺は黙って聞き流していた。
「貴公には何も戦の対局など見えてはいない。
このぬるま湯の様な環境下で侵略を掲げる事自体無謀であったのだ!」
「ならば滅びろと?
アルケイン将軍は未だに砂漠に兵と共に必死に抑えている。
力も貸さず状態は悪くなる一方だ。
そして何もなさぬままにあの戦場から手を引いた。
引かざるおえなくなるまで、こうして足止めをくらった何度もだ!
君達にネクロスを守る気があるのか?」
「大仰な口を叩こうが、現実は変わらぬよ…
まず誰の責任であるか貴公は考えるべきでは?
新兵の多い我が隊はこれより先永久防衛だ。
育った兵のみが本部隊や小隊に配属を志願すればよい。」
「ネクロスの半数以上が我が隊の人間であると言うのにか?
そして我が国の今や3倍までに膨れ上がったテオドアを新兵と小隊との連合部隊で追い詰めたというのにか?
兵を見くびるな!
彼等は一人一人物を考え、そして我々についてきている。
国の為に彼等は彼等で考え動いた!
その事実がまだ分からないと?」
「何を言われようがこの考えは変わらん。」
「馬鹿馬鹿しい…やってられん…」
「どこへ行く?」
「責任は取るさ…
だがネクロスに明日はない!」
強く扉を閉め俺は深いため息を付く。
「俺は無力だ…」
呟きを聞いたものは居ない。
この日レオニールはネクロスを亡命した。
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