第一話 母国、日本

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―――人は何の為に生きるのかって、俺は最近よく考える。 カズマやマリアは多分あの性格上、あまりそんな事考えはしないだろう。 けど俺は二人と行動を共にしている意味がわからなくなってきている。 どうして俺は誰かから何かを奪うこの仕事をしているのだろうか。 気付いた頃にはこの仕事が、俺の日常の一部になっていたのだ。 この仕事が楽しいと感じる時だってたまにはある。 ピンチに陥って、そんな状況下から生き残った時なんかは生きてる実感が沸いた。 たとえ任務の最中、命を落とす事になったとしても、俺はそれでも構わなかった。 俺にはあまりに失うモノがなさ過ぎるから… 家族もいない。親族もいない。恋人もいない。 あるとするなら、今まで一緒に組んできた二人の仲間だけ。 その二人の仲間も俺自身も、いついなくなってもおかしくはない。
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