プロローグ

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―――デトロイト近郊、ヒューマノティック本社。 「カズマ、状況は?」 高性能な無線通信機で、ノイズの少ない通信がインカムを通してカズマの耳に聞こえてくる。 「お前、いちいち聞く必要あんのかよ。見えてんだろ、この状況」 「あぁ、よく見えてる。大変そうだなって思って聞いてみただけ」 カズマは人一人通れるほどの小さなダクトの中を這い、先へと進む。 「ったく…冷やかしかよ」 「緊張は冷静な判断力を欠く。お前の冷静さを保つために、俺はくだらない会話をしているんだ。すべては計算の内」 「はいはい、お前の屁理屈はもう聞き飽きた。もうすぐ目標地点だ。ちゃんと指示しろよ」 「俺に抜かりはない。マリアの方もうまくやってくれたし、セキュリティーも甘い。今回の任務は簡単過ぎてつまらないな」 自動車の国デトロイト。そのブランドの一つヒューマノティック。
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