第一幕 紅傘の斎京

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ははっ、大当たりだ。 目の前の縁側で領主が女二人と酒呑んでやがる。 のんきなこった。 今から殺されるってのに。 ゆっくり正面から近づく。 まだ気づかねえのか? 呑みすぎだろ。 なんで夜なのに傘差してるのかって? これは俺の商売道具なんだよ。 で、俺の証しだ。 ん? トレードマーク? 知らねえよそんな言葉。 「ほれほれ、おぬしらも呑まんかぁ~、ってなにぃ!? 貴様何者じゃ! 何処から入った!?」 やっと気付きやがったか。 こちとらわざと目立ってやってるのによ。 「……お前の首をもらいに来た。少しは抵抗しろよ?」 「く、曲者じゃあ!! 曲者じゃあ!!」 領主の声で四、五人家来が集まってきた。 やけに少ないな。 さて、俺の願う強き者がいるかどうか……
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