第一幕 紅傘の斎京

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「ヒック、早くその不届き者を斬れ~!」 一人の家来が刀を上段に構えて走って来やがった。 思いっきり切りかかってきたけど傘差したままでも避けられる。 大振り過ぎんだよ。 避けたついでに腹部に蹴りをお見舞いしてやった。 「お~飛ぶ飛ぶ」 俺の蹴りをくらった男は元いた位置より奥まで吹っ飛んだ。 ちょっと強く蹴り過ぎたか。 「お、おのれ~!!」 「貴様、見た所刀を帯びてないではないか。丸腰で戦おうとは……笑止!!」 刀? 確かに腰には差してないな。腰にはな。 次は二人が同時に走って来た。 左右には避けられないってか? 仕方ないな。 じゃあ見せてやるよ俺の“刀”を。 「成敗ぃぃ!!!」 二人の男が刀を振り下ろす。俺は傘の柄に手をかけた。
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