第一幕 紅傘の斎京

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柄を一気に引き抜く。 柄の中から銀色の刃が現れた。 そう、俺の刀は仕込み刀だ。 「むっ……仕込みか!」 「しかも片手だと……!」 刀と刀のぶつかり合う独特の金属音が鳴り響く。 二本の刀を片手で受け止める俺。 この右腕にかかる重量感……いいねぇ! 踏ん張って地面を蹴る。そのまま刀を押し返してやった。 二人とも驚いた顔してやがる。無理もねぇな。 大の大人二人の斬撃が片腕で止められるんだからよ。 まぁ俺は特別だ。 刀を押し返したそのままの体勢から横一文字に斬る。 血飛沫が雨のように降り注いだ。 俺の傘が汚れちまったじゃねぇか! 「やっぱこんなもんか。おい、次は?」 なんだよ……俺の前には家来がたった一人。 ぶっ、なんだこいつ、足が震えてやがる。
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