第一幕 紅傘の斎京

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覚悟がねぇんなら刀抜くなよ。 抜いたが最期、此処は戦場だぜ。 あ~あ、発狂して叫びながら走って来やがる。 刀を上に構え過ぎなんだよ。 腕ががら空きだ。 両腕ごと首をぶった斬ってやった。 今回もツいてねぇや。 ろくな奴がいない。 領主は部屋の奥で腰を抜かしてる。 お前は戦わないのか? 一国の領主が聞いて呆れる。 そろそろ幕府も終わりだな。 「き、貴様! 儂をこの国の領主、門末実継と知っての愚弄か!」 「だからお前の首をもらいに来たって言っただろ」 門末実継さんに近づく。 来るな来るなしか言えないんですか? 戦わないんならもう黙ってくれ。 「……あの世ではもっと腕の立つのを雇うんだな」 「え、待ってくれ! うぎゃあああぁぁ!!!」 呆気ない最期だ。 今日は駄目だな、ツいてないや。
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