闇の中の少女

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「"風"の回収に失敗した。何者かに邪魔されたそうだ」 ヒカリか!? 「そう…。じゃあさっさと火野タクトを回収して"風"の方に向かおうか」 そう言いながらまた分厚い本を取り出した。 「おい待てよ!ヒカリの所にも向かわせたのか!?」 「くひひ…し、心配しなくてもいずれイノネウスで会えるさ」 答えになってねえぞオタク! 「じゃあ行くよ」 本から西洋風の剣が武井によって引っこ抜かれる。 あの本は何だ!? 「そうだな…」 月島が地面に手を付く。 こいつの能力は何だ!? 壁を出す能力か? 「させるかよ!」 とにかく、先手必勝だ! 二人に向かって炎を放つ。 「む…!」 月島がまた自分達の手前に壁を出した。 「くっ!」 炎を止めて両手に炎を纏わせる。 そして壁に向かって走った。 遠距離攻撃が通用しないなら近距離で攻撃すればいい。 しかし、その考えも読まれていたみたいで、剣を持った武井が壁の横から現れた。 「ふふ…もう終わる?」 笑いながら振り下ろされる剣を避け、 「終わる訳ねえだろ!」 剣の付け根を殴りつけて折った。 …のも束の間、月島が出した丸い大岩が俺に直撃。 「がっ!」 岩に押されながら飛ばされる中、なんとか軌道から外れて地面に転がり込む。 なんだアイツの能力? ただ単に壁を出すだけじゃないのか? 体制を立て直して前を向くと武井が機関銃を出して構えていた。 しかも設置型!? 「ちょっと痛いけど、我慢してね」 子供みたいな顔でそいつは引き金を引いた。 避けきれねえ! 観念して目を瞑った。 …。 あれ? 弾が来ない? ゆっくりと目を開ける。 俺の前で円形の水の塊が俺に放たれた弾を全て飲み込んでいた。 この水は…、 「蒼麻!」 ふと後ろを見る。 「危なかったな」 スかした顔で手を此方へと向ける仲間がいた。 「あ、水城蒼麻だ。捜す手間が省けちゃった」 「武井、喜んでいる場合ではない。水城蒼麻は前に俺達の仲間を血祭りにした男だ」 注意を促す月島に、 「うん、わかってる。油断はしないよ」 武井は頷いた。
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