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「ギリギリ間に合って良かったよ」
向けていた手を横に振り、弾が入った水を解除した。
「蒼麻…助かったぜ…」
安堵の笑みをこぼしながら立ち上がる。
「今、どういう状況だ?」
「ああ…あのちっこいのは本から武器を出す能力らしい。そしてでかいのは壁を出したり岩を出したり良くわからん…。屋上にいるもう一人は手を出してこないらしい…だから能力はわかんねえ」
今俺が持っている情報を蒼麻に話す。
「なるほどな…」
それを聞いて考える蒼麻に、
「なぁ蒼麻、あのアクアナイフって技…俺にも出来るか?」
視線をイノネウスから外さずに質問する。
「僕とタクトは同じ系統の能力だし、出来ない事も無いだろう」
良かった…。
毒を使うオカマとの戦いで痛感した。
やっぱり武器は必要だ。
「でも出来ると言ったってぶっつけ本番じゃ無理だ。僕だって相当練習したからね」
「俺はこんな時にしか能力使えねえんだ。仕方無いだろ」
普段から能力が使えたらなぁ…と切に思う。
「…ったく、じゃあ無理するなよ」
蒼麻は少し考えた後にアドバイスをくれた。
「いいか?ああいった技を出すには、まずイメージだ。武器の形をイメージする」
なるほど…。
「そして次は名前だ。名前があった方が後々技を出しやすいからな」
「了解!」
それだけ言うと俺は二人に炎を放った。
その炎を又も壁を出して防ぐ月島。
「なるほどね…」
壁に向かって蒼麻は走った。
危ねっ!
蒼麻に当たるといけないから急いで炎を止める。
走る勢いでアクアナイフを右腕に装備し、
「タクトが言ってたのはこの事か」
壁を横に真っ二つに斬った。
切れ目が入った所から壁が落ちる。
が、そこに二人の姿は無かった。
それを確認するやいなや、蒼麻は跳んだ。
そして今まで自分がいた場所に水柱を放つ。
あんな所に撃って何を…?
その疑問はすぐに解消された。
「ぬお!」
地中から攻撃しようと上半身だけ地上に出て来た月島に水柱が当たったのだ。
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