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さらに蒼麻はアクアナイフを後方に振った。
後方の振りかざさんとする武井の剣とぶつかる。
「くっ!」
攻撃を弾かれた二人は空中で止まっている。
「タクト!」
「おう!」
蒼麻の掛け声で俺は地面から抜け出そうとする月島目掛けて走った。
今なら武井は蒼麻を警戒して何も出来ないだろう。
走りながら握った手に力を込める。
名前とイメージ…名前とイメージ…。
「炎の剣!!」
燃えるような剣をイメージして炎を出したつもりだったのだが、結果的に手から炎が出ただけとなった。
「くそ!」
やっぱ練習無しじゃ無理なのか…?
いつものように炎を右手に纏う。
月島が手から岩を出して飛ばしてきたがそれを避けて、月島の腹を殴った。
「ぐぅ!」
月島は斜め上方へ吹っ飛んだ。
「っ…!」
イッテ~…。
とっさにアイツ、腹に岩の板を出しやがった。
あれじゃ倒しきれない。
「上出来だ、タクト」
蒼麻は両手を武井と月島に向けた。
その手にサッカーボール大の水の球体が出来上がり、
「アクアハンマー!!」
二人にそれを放った。
「ぐぉ…!」
頭に直撃した月島は姿を消した。
出血していたから、あの球体は硬質化した水なのだろう。
アイツはイノネウスに帰ったと思う。
って新技!?
蒼麻のヤツ、前に俺と戦った時より強くなってねえか?
ったく…頼もしい限りだぜ。
一方武井は蒼麻の技を受けて地面に倒れている。
それを見たと同時に蒼麻が下りてきた。
「武器…出せたか?」
ほら、僕の言った通り、練習無しじゃ無理だったろ?
そんな声が聞こえてきそうだ。
「…ぅるせ」
そう思うと反論出来なかった。
「小田君…まだかな…?」
起き上がりながら武井は言う。
「も、もう少し…かかるな」
「そう…。なるべく早くしてくれたら…助かるな!!」
そう言って武井は本から戦車を出した。
1/1スケールの本物を。
武井がその中に乗り込んだと同時に砲口が向けられた。
「言っとくけど、避けるなんて無駄だよ。この戦車から放たれるミサイルは自動追尾性能だから」
マジか。
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