闇の中の少女

12/17
前へ
/122ページ
次へ
「どうする?どうしよう!」 そんなモンどうにも出来ねえだろ。 「落ち着けタクト」 慌てる俺を蒼麻が制した。 そして手を戦車に向けて、 「さぁ…」 水柱を出し、 「撃ってごらんよ」 砲口に付いたと同時に柱を固めた。 春波を助けた時に見た、俺の落下の勢いを消したあの水柱だ。 「タクトは僕の後ろに」 「お、おう」 言われるままに動く。 「このぉ!!」 戦車からミサイルが放たれた。 水中を移動しているのに速度がほとんど落ちてねえ。 その迫り来るミサイルを…、 「な!?」 蒼麻は掴んだ。 爆発する! 「…くっ!」 …。 あれ? 爆発しない? 「…約一秒」 「は?」 戦車から聞こえる疑問の声。 「このミサイルが僕の元へとたどり着くまでの時間だよ。それだけあればミサイルの内側まで水浸しに出来る」 蒼麻さんスゲェ!! 「タクト、今だ!」 「はい、蒼麻さん!」 「くそ!」 戦車から出ようとする武井よりも早く、走って戦車の砲台を掴み、 「で…えぇぇぇぇい!!」 背負い投げでひっくり返してやった。 投げる直前に中途半端に戦車から出ようとしてたから、武井は戦車の下敷きになっているのかもしれない。 「はぁ…はぁ…」 荒い息を整えていると、戦車とミサイルが消えた。 そこに武井はいなかったから多分俺の思った通りになっていたんだろう。 「さぁ、ラストはお前だ!」 屋上に立つ小田を指差す。 さっさとお前を倒してヒカリの元に行くんだ。 「…ロード完了」 小田はそう呟くとゲームのコントローラーを握り締めた。 「コントローラー?」 蒼麻の質問に返すように、 「そ、そうさ…君を操る為のね。もう動きは全て見た」 「何を言っているんだ?」 その言葉とは裏腹に蒼麻に顔面を殴られた。 「ぐっ…」 「え?」 地面を転がって片膝を着く。 いやいや蒼麻、え?じゃないよ。 俺が言いたいぜ。
/122ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加